代物弁済による不動産の名義変更

司法書士山本宣行のコラムです。

ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。

代物弁済による不動産の移転登記について

個人間でお金の貸し借りをした場合に、借金を返済出来なくなってしまうと債務者から不動産人名義を債権者に譲渡することで借金の弁済に代えて欲しいという提案を受けることがあるかもしれません。
債権者としては債権者名義に移転登記をしたうえで不動産を売却して返済金に当てようと思うことがあるかもしれません。
このようなケースで不動産の名義変更登記を行ってしまうと税金の落とし穴にハマってしまうことも考えられます。注意すべきポイントなども含めて説明していきたいと思います。

代物弁済について

まずは代物弁済を目的として不動産の名義変更を検討するにあたっては、要件や効果などがどのようになっているのか以下で確認することにしましょう。

①代物弁済とは

民法482条では債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は弁済と同一の効力を有すると定めています。
つまり、債務に代わる不動産や動産などを債務の履行の代わりとして給付することでもともとの債務を弁済したことにしてもらう契約をいいます。
また本来弁済すべき債務の代わりに給付される財産に関しては仮に金額の大きな場合でも成立します。
代物弁済の目的財産も不動産や動産をはじめ第三者に対する債権の譲渡など様々です。

②要件

1、債権が存在すること
2、本来の給付に代わる異なる給付が弁済に代えて現実になされること
3、債権者の承諾を得ること

③効果

代物弁済が行われることで本来の債務が弁済と同じ効力を持つことになります。
また給付された目的物が不動産などの場合に、契約時にはわかりにくい隠れた瑕疵があったとしても債権は消滅するため、債権者としては他の財産にかえてくれとはいえないことになります。
このような場合には、契約解除や損害賠償請求などを債権者が行っていくことが考えられるため、注意が必要となります。

目的財産の評価について

代物弁済を行う場合には本来の給付に代わり、不動産などを目的としますが、代物弁済の目的財産の価格は同価値である必要はありません。ただし、本来の債務の額よりも代物弁済の目的財産の価格があまりにもかけ離れ何倍も価値があるような場合には暴利行為とみなされ無効になるとの判決もあります。また債務が消滅するからといって安心してはいけません。本来の債務額と目的財産の価格に差額が出てしまうことで、税金が大きく発生してしまうことがあります。どのような税金がかかってしまうのか代物弁済を行う当事者としては事前に確認理解する必要があります。

〇本来の債務と比べて代物弁済の目的財産が高くなってしまう場合

事例:500万円の貸金債務を債務者名義の不動産(評価額1000万)で代物弁済するケース
注意ポイント
不動産の価格の方が高いため、本来の債務との差額が債権者への贈与とみなされてしまうと考えられ債権者側に贈与税が課税されてしまう場合があります。
不動産鑑定士の評価依頼や類似の取引事例を参考に不動産価格を慎重に算定していくことが好ましいといえます。
また差額に対して債権者から精算金を支払うことで贈与税が発生しないようにするのか否かの検討も必要となるでしょう。

〇本来の債務と比べて代物弁済の目的財産が低くなってしまう場合

事例:1000万円の貸金債務を債務者名義の不動産(評価額500万)で代物弁済するケース
注意ポイント
不動産の価格の方が低いため、本来の債務との差額が債務者への贈与とみなされてしまうと考えられ債務者側に贈与税が課税されてしまう場合があります。
この場合の残債の500万円債権者が債務を免除したものとみなされ貸倒損失等で処理することなると考えられます。

〇債権者に発生する税金

前述の他にも不動産を取得することになるため、不動産取得税や名義変更登記の際の登録免許税の発生にも注意しなければなりません。

〇債務者に発生する税金

前述の他にも債務者にとっては時価相当の不動産を売り上げたことになると考えられるため消費税の発生や譲渡所得税の発生の可能性にも注意しなければなりません。

代物弁済による不動産名義変更のまとめ

代物弁済で不動産の名義変更登記を行うことで、登記簿に原因が「代物弁済」として公示されてしまいます。
通常の売買や贈与などでの不動産移転とは異なり、要するに借金のカタとして不動産を取得したという経緯が見る人がみれば分かってしまうため、将来売却を行う場合には買い手に特殊な事情があったものと判断され警戒され敬遠されてしまう可能性もあるかもしれません。
代物弁済を目的として不動産を譲渡して名義変更登記を行う場合には、不動産の価格や本来の債務額とのバランスが非常に重要となります。
また、本来の目的は当事者が債権債務を消滅する趣旨ではあっても、思いがけない税金が課税され不測の諸費用を負担することになりかねません。
代物弁済の検討にあたっては、税理士などの専門家からアドバイスを貰い、本当に代物弁済で行うことが好ましいのかくれぐれも慎重に検討して進めていくことが重要です。

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