相続登記完了までに固定資産税の支払い代表者を指定する場合
司法書士山本宣行のコラムです。
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。
相続登記の完了までに固定資産税の支払いをどうすればいいか
相続が発生して故人の財産に不動産があり、遺産分割協議などで相続人の確定に時間がかかってしまう場合において不動産の名義変更による相続登記が完了するまでの間、思いのほか時間がかかってしまうケースがあります。
相続人同士が遺産分割協議で揉めて紛争になってしまうようなことが無かったとしても、相続税が発生して全体の財産を把握するまでに時間がかかってしまう場合や、税金控除の特例や2次相続などを考慮しつつ不動産を誰がどのように取得するのが検討しながら決めていくような場合ですと相続登記完了までにかなりの期間を要するケースもあります。
そのような相続登記の完了までに時間がかかってしまうケースで故人名義の不動産に対する固定資産税の支払いをどのように行えばいいのか説明をしていきたいと思います。
不動産の相続登記が未了の間も固定資産税は発生
不動産の相続登記が未了の間も固定資産税は発生しますので、不動産の名義変更が完了するまでは、故人に代わって固定資産税の納付などに関する納税通知書を特定の相続人が受け取るために、「相続人代表者指定届」を提出する必要があります。
不動産の固定資産税は毎年1月1日現在の所有者に課されるものなので、5月位に不動産を管轄する各市区町村から原則として1月1日現在の所有者宛に送付されてくることになります。
この「相続人代表者指定届」を提出したことにより、法的に相続する不動産の所有権を確定するものではなく、あくまでも相続人全員が連帯して納税義務者となるわけですが、納税上便宜的に固定資産税の納税者を決めるだけのものと考えていればいいでしょう。
相続人代表者指定届がない場合
「相続人代表者指定届」を提出しない場合には、地方団体の長は相続人の1人を指定してその者を代表者とすることもできます。
したがって、被相続人名義となっている不動産が空家などの場合には、相続人を調査し指定した相続人に対し通知を行うことになります。
被相続人名義の不動産にその配偶者が居住している場合には、従来どおり故人名義宛に固定資産税の納税通知書が送付されてくることになりますが、相続登記未了の場合に「相続人代表者指定届」を提出しないで故人名義のまま、固定資産税を支払ったとしても特に問題はありません。
相続登記未了の間に「相続人代表者指定届」を提出しなかった場合でも、固定資産税を従来通り納付していれば特段何かペナルティが発生する訳ではありませんので、ご家庭の事情で対応していくということも方法の1つかと思われます。
相続人代表者指定届について
「相続人代表者指定届」を提出される場合は固定資産税の納税通知書に連絡先が記載されておりますので相続人代表者が所定の届出用紙を請求して不動産を管轄している各地方団体の長へ提出することになります。
相続人代表者指定届の主な記載事項について
①被相続人の氏名、死亡時住所、死亡年月日
②相続人代表者(納税通知書受取人)に氏名、住所、生年月日、被相続人との続柄
③各相続人の氏名、住所、生年月日、被相続人との続柄
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