法務大臣が指定する土地の相続登記を申請した場合の登録免許税の特例
司法書士山本宣行のコラムです。
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。
法務大臣指定の土地の相続に係る所有権移転登記(相続登記)の免税措置について
相続登記が未了のまま、放置されると所有者が不明になり公共事業の円滑な実施や農地の集約化、空き地や空き家対策など市町村の様々な行政目的の円滑な実施のために不動産を処分活用することが困難となってしまいます。
このような市町村の行政目的の円滑な実施に悪影響を与えることから、問題点に対応するべく所得税法等の一部を改正する法律により租税特別措置法84条の2の3第2項の規定が新たに設けられ、所有者不明土地の利用円滑化に関する特別措置法が平成30年11月15日から施行されています。
この法律は分かりやすく言いますと法務大臣が指定した条件付きの土地を名義変更する際の相続登記にかかる登録免許税に関しては、通常登記申請の際に法務局に納付すべき登録免許税を納めなくてもいいですよという扱いになります。
法務大臣が指定する条件付きの土地とはどのようなものか下記で説明したいと思います。
免税措置の適用を受けるためには3つの条件がある
①法務大臣が指定する土地であること
市町村の行政目的のため相続による土地の所有権移転登記(相続登記)の促進と特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地として法務局・地方法務局の各ホームページにて閲覧確認することができます。
法務大臣の指定する土地の項目に法務局・地方法務局のホームページ・連絡先等がPDF形式でクリックできるようになっていますのでPDFを開いて該当する土地の管轄のホームページアドレスをさらにクリックしますと法務大臣の指定する土地の項目に「免税対象となる土地」がPDF形式となっていますのでさらにクリックして頂ければ確認することができます。
分からない場合には法務局・地方法務局の担当部署に問い合わせすることも可能です。
(参照 アドレス houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html)
②法務大臣が指定する土地の課税標準たる不動産価額が10万円以下であること
所有者であった故人に送付され保有されている固定資産税の納税通知書や土地の評価証明書などにより相続登記に係る登録免許税法第10条第1項の課税標準たる不動産の価額が10万円以下であるか否かを確認することができます。
③市街化区域以外の土地であること
市街化区域の該当性については、固定資産税・都市計画税の納税通知書等により都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域に含まれないかどうかの確認が必要になります。
横浜市の場合ですとインターネットから横浜市行政地図情報システム(i‐マッピー)を閲覧し都市計画による制限から市街化区域に該当するか否か比較的簡単に確認することができます。
適用対象外の市街化区域とは
市街化区域
「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」のことを言います。
市街化区域では乱開発を制限させる考えから住居地、商業地、工業地などをエリアごとに用途地域として分けて建物の建築を細かく制限しています。
このような制限を設けることで住居エリアには騒音に影響する商業施設や工場などが混在せずに安心して暮らせる環境が提供されていることになるわけです。
市街化調整区域とは
市街化調整区域
いっぽう市街化調整区域とは「田畑や自然の景観をも守り維持していく区域」のことをいいます。
当事務所から比較的近くのエリアにあります古き良き自然の景観が残されていり寺家ふるさと村なども市街化調整区域となっているため、簡単に建物を建築することは出来ないエリアとなっており美しい自然が守られているといえます。
相続に係る所有権移転登記(相続登記)免税措置の適用を受ける際の証明書類について
相続に係る所有権移転登記(相続登記)登録免許税法第84条の2の3第2項の適用の有無に関しては、適用の有無の確認は原則、登記官が行うため、相続登記申請の際に特別に何か適用を受けるための証明書は不要となります。
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