相続税の宅地評価に使う路線価とは
司法書士山本宣行のコラムです。
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。
相続税の宅地評価に使う路線価とは
相続税が発生しそうか否かに大きな影響を与えるのが故人名義の所有不動産となります。
故人名義の所有不動産とは具体的には土地及びその土地上の建物や借地権などをいいます。
故人が遺した財産を遺産分割協議でどのように分配するか相続人同士で話し合う場合には不動産を実際の取引価額となる時価や、任意の価格で評価し、他の預貯金や株式などの財産と調整しながら取得割合を決めていくこともあります。
ただし、相続税を計算するうえでの宅地評価方法としては国税庁のホームページから路線価方式(市街地的形態を形成するエリアの宅地)や倍率方式で評価額の概算を算出します。
7月となり平成30年度の路線価が国税庁のホームページで閲覧できるようになりました。
当事務所へ相続無料相談にいらっしゃる横浜市や近隣の川崎市などにお住まいのご相談者様のエリアが去年と比べて上がったのか下がったのか非常に気になる方も多いかと思います。
本コラムでは相続税に大きく影響する宅地評価で使用する路線価図の見方などを説明していきたいと思います。
路線価方式とは
路線価方式はその宅地が接する主要道路に1㎡あたりの価格(路線価格)が設定されており、これに地積を乗じることで相続税の算定基礎となる評価額を求めていきます。
今年は7月2日に全国の路線価が発表されましたが、この路線価格の付いた地図(路線価図)には、1㎡あたりの路線ごとの価格及び借地の場合の割合も記載されています。
土地が借地となっている場合は借地権割合を基に評価額の概算を算出します。
ちなみに路線価図とは下記の表のようになっております。
横浜市、川崎市など近隣エリアの方が当事務所へ相続相談にお越し頂く際には路線価図を見ながら不動産評価がどの位になるのか確認させて頂くこともございますので、簡単な見方と計算方法を説明していきたいと思います。
路線価は千円単位の表示となり横浜市青葉区つつじが丘の環状4号沿いにビルがある当事務所の場合ですと下記図で360Cとなっておりますが、路線1㎡あたりの価格が36万円で借地の場合は記号がC(借地権割合70%)となっていますので、36万円の70%の25万2千円で評価することを示しております。
ちなみに、借地権割合は記号がA(90%)からG(30%)まであり、エリアによって異なった区分がされています。
また、宅地上の建物が第三者へ賃貸されているようなケースであれば、当事務所のビルの宅地評価のおおまかな計算方法としては36万円に地積を乗じた価格×(1-借地権割合70%×借家権割合30%)×貸付割合(空き室/使用部屋)で概算評価を算出することになります。
なお、相続税の申告で適用する路線価は故人の死亡した年の数値を使用することになりますが、毎年7月頃に路線価が発表されるため、7月以前では前年の路線価がどの位だったのか価格を確認し、概算で宅地評価がどの位となりそうか事前に確認しておくといいでしょう。
(路線価図)
宅地の形状などによって評価が変わってくる場合がある
前述しましたように路線価方式の場合には宅地に接している主要道路に㎡あたりの価格が記載されているため、ある程度の概算評価額を算出することは可能ですが、宅地の形状などにより各種の価格補正率が定められているため、評価額も変わってくる場合があります。
参考までに宅地の形状が下記のような場合には評価が変わってくる可能性があります。
〇土地の間口が狭いなど細長く奥行きがある
※価値は低くなる可能性がある
〇土地が三角などの不整形やがけ地である
※価値は低くなる可能性がある
〇2方向の道路に囲まれた角地や正面と裏面に道路がある
※価値が高くなる可能性がある
まとめ
当事務所へ横浜市、川崎市など近隣エリアの方が相続相談にお越し頂く際には不動産の課税明細書をお持ち頂き、路線価格の確認をさせて頂くこともございます。
土地は宅地以外にも路線価が設定されていない倍率方式で計算する農地や山林なども含まれますが、課税明細書の評価額として価格が低い場合でも相続税を計算する場合の評価額が考えているよりも高い評価となってしまうこともあるため、注意が必要となります。
不動産を相続する場合には土地の評価、計算方法もさることながら、遺産分割の取得方法で誰が相続するかによって、相続税の控除が使える場合もあり申告方法は非常に複雑です。
書類の収集や手続きにかかる時間や労力は大きいものとなりますでの、専門家にご相談頂き、アドバイスを聞いたうえで手続きを進めていくことが重要であるといえるでしょう。
初回無料相談のあおば法務司法書士事務所にご相談下さい
相続手続きは多くの方の人生にとって数回あるかないかの手続きかと思います。
故人に対する悲しみも消えない中で手続の窓口に行くと専門的な用語や慣れない煩雑な手続で肉体的にも精神的にもさらに負担がかかってしまいます。
当事務所では、慣れない煩雑な裁判所関係書類の作成手続きはもちろんのこと相続手続き全般と幅広く対応しており相続人皆さまの負担を少しでも軽くなるよう、初回無料相談を設けておりますのでお気軽にご利用下さい。