相続税対策と養子縁組について
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。
相続税対策と養子縁組について
相続税が発生すると予想される場合に相続税対策の一つとして生前に養子縁組を行い法定相続人を増やし基礎控除額や生命保険金の非課税枠を増やそうと検討する方もいらっしゃると思われます。
親子関係のない者同士が法律上の親子関係を認めてもらうのが養子縁組の目的でもあるわけですが、この養子縁組を相続税対策として行おうとする場合に要件や効果その他注意すべきポイントを確認して行わないと他の相続人との間で紛争が生じることになってしまったり、トラブルの要因となってしまうため、養子縁組を検討するにあたってのポイントなどを説明したいと思います。
養子縁組の要件とは
・養親になるためには成年者でなければならない。
・自分より年長者や親や祖父などの尊属を養子にすることはできない。
・未成年者を養子にする場合には原則として家庭裁判所の許可が必要となりますが、未成年者が15歳未満の場合にその法定代理人が代わって縁組の承諾を行うことも可能です。
・養親や養子となる者に配偶者がいる場合には原則としてその配偶者の同意が必要となります。
・養親に配偶者がいる場合で未成年者を養子とするには原則としてその配偶者と共にしなければならない。
・養親となる者が後見人の場合で被後見人を養子にする場合には家庭裁判所の許可が必要となります。
養子縁組の効果について
ちなみに養親の戸籍には身分事項の養子縁組欄に縁組日や養子氏名、養子の戸籍としてその本籍や筆頭者が記載されることになります。養子の戸籍には戸籍に記載されている者として実親の他に養親の氏名や続柄が記載され身分事項の養子縁組欄に縁組日や養親氏名、養親の戸籍としてその本籍や筆頭者が記載されることになります。
養子縁組における税務効果について
相続税が発生する場合に相続税総額の計算上は養子縁組で法定相続人が増加することで一人当たりの法定相続分が減少し相続税の税率の適用区分が低い区分に変われば結果として、総額を減少させることが可能となります。
相続税の基礎控除額
平成27年1月1日以後の死亡で発生した相続に関しては「3000万円+600万円×法定相続人の数」と定められているため養子縁組により法定相続人の数が増えるごとに基礎控除額が600万円増加し、相続税対策として活用できることになります。
生命保険金や死亡退職金については受け取った合計額が「法定相続人の頭数×500万円」により計算した非課税限度額に相当する部分までであれば相続税の課税価格に算入されません。
したがって、養子縁組により法定相続人の数が増えるごとに非課税限度額が500万円増加し、相続税対策として活用できることになります。
養子縁組にあたっての注意すべきポイント
・被相続人に実子がいない場合
養子の数は2人まで計算上、法定相続人の頭数に含めることが可能
・被相続人に実子がいる場合
養子の数は1人まで計算上、法定相続人の頭数に含めることが可能
例外(以下の場合には相続税額計算上制限なく全て法定相続人の頭数に含めて計算することが可能)
・特別養子縁組として養子となっていた場合
・被相続人の配偶者の実子(連れ子)を養子としていた場合
・被相続人と配偶者の婚姻前に特別養子縁組で配偶者の養子となっていた者(連れ子)を養子とした場合
本来、相続又は遺贈で財産を取得した者が被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者であれば相続税額は2割加算となってしまいますので被相続人の直系卑属である孫を養子とするような場合においても2割加算の対象となってしまい負担が重くなるため注意が必要となります。
いっぽう代襲相続人となった孫などの直系卑属は被相続人の一親等の血族の扱いとなり2割加算の対象とはならないので混同しないように合わせて注意ポイントとなります。
養子縁組により法定相続人の数を増やし相続税の負担を不当に減少させる結果となることが課税当局に認められてしまうと養子の数が相続税の計算上、法定相続人の数に算入できなくなる ケースもあるようなので注意ポイントとなります。
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